はじめに
いつも自衛官生活支援会のブログを読んで頂いてありがとうございます。単身赴任の方も多く、ご家族そろってご実家に帰るのはお正月とお盆くらいしかないですよね。親御さんと話す機会も多いと思います。是非ともこの機会にご両親と相続や将来のことなどをざっくばらんに話せるといいですね。ただ、なかなかこの種の話は切り出しにくいですよね。是非ともこのブログを参考に、親御さんと将来のことを話しましょう。
親と一緒になって取り組んでおかないと困る終活の内容は?
トップは、「持ち物の整理」で「財産の整理」「お葬式の準備」の順です。「持ち物」とは、家の中にある思い出の品や家財道具などなどですね。私も義理の父が亡くなった際に、家を片付けるのに苦労しました。自宅はどうするの?ところで、財産はどのくらいあるの?将来、認知症になったらどうしよう?もっと、年老いたら誰が面倒見るの?などなど、とても一人では解決できない問題が山積ですよね。そして、肝心の親は、他人事のようで、まだ、「自分は大丈夫」と思っている方が大多数でしょう。
そして、もう一つ大きな内容は「通帳」と「ハンコ」の場所です。全く何も知らずに、「遺品整理業者」に入てもらい、何十万も支払ったという話をよく聞きます。
親の終活を子どもからは切り出しにくい!
なかなか、親の終活をこちらから言い出すのは難しいですよね。「俺の死ぬのを待っているのか!」などと言われたら、冷や汗ものです。しかし、言い出し難いからと言って、放置しておくのも後から大変困りますよね。
すぐには、終活の話はしないで・・これ大切です!!
まずは、お孫さんの話題から終活の話題へ・・
この年末年始休暇で子さんを連れて、実家に帰省されている方も多いと思います。親御さんにとっては、可愛いお孫さんです。まずは、来年は何歳になるのか又は何年生になるなど将来に向けた話題、そして、さらに将来の話題、例えば大学、結婚など10年先、20年先を意識させることが大切です。
10年後、20年後の自分の年齢を意識すると、それなりのイメージを持つことになります。そこで、知り合いの困った事例(介護、認知症、空き家、相続)など、このブログで紹介した例を持ち出して、残された者の大変さをアピールしましょう。
ここまで、話ができれば、「万一の場合はどうしよう」と話を向けることができます。その時は、まずは、親の思いを否定せずに聞きましょう。ここで、自分の意見を強く言ってしまうと、話がストップしてしまい。今後、この種の話は難しくなりますので、気を付けて下さいね。
すぐには詳しい話は難しいので、今後もこの話題を続けて話すことを合意しておきましょう。その際には、次は少し勉強してくるので、詳しく話せるかもしれないなどと話して、次に繋げる工夫があるといいかもしれません。
ご兄弟がいらっしゃるときは、何れは同じ問題に直面するので、もし、可能なら前もって、話題を取り上げることに合意しておくとスムースに話が進められると思います。
終活の第1は認知症に備える!
周りが気づかないうちに認知症になっていることがあります。
本人が気づかないうちに認知症が進行している場合もあり、手遅れになってしまうこともあるようです。さらに、本人だけでなく、周りも少しおかしいなとは思いながらも深刻さに気付かない場合が多くあります。
こんな例があります。「ある日、銀行にお嫁さんと一緒にお金を引き出しに行ったら、自分の名前を書くのに苦労するおじいちゃん。それを見た行員さんからお医者さんの受診を求められ、診断を受けたら、何と『認知症!』と診断。それ以来、口座からお金は引き出せなくなり、成年後見人を付け、とても大変な思い」をした方がいらっしゃいます。
近くにいるお嫁さんでも、気付かなかったのですから、遠くに離れているご家族がその状況を把握するのは更に難しいですよね。
終活の大きな課題、認知症の現状と対応はどうすればよい
少し古いデータですが、2012年は認知症高齢者数が462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人です。さらに2025年には約5人に1人になるとの推計もあります。今後、高齢化に伴い急激に認知症は増加すると考えられます。
認知症になってしまうと、財産管理につては、成年後見制度の枠組みを使うしか手がありません。成年後見人の制度を使うのも良いですが、大変手間が掛かり親族が後継人になることはほとんどないので、とても不便な制度です。そのため、認知症になる前に何らかの手を打つことが大切です。しかし、親御さんがその重要性を認識しないので、帰省した時に皆で話すことが大切なのです。
それでは、認知症になる前の対応について、いくつか例を挙げてご説明します。
①事前に財産を贈与などする
毎年、110万円までの贈与は税金がかかりませんが、これを超えると10%の税金がかかります。ただ、例えば111万円を贈与して1,000円の税金を払えば、後から問題(定期贈与)になりにくい場合もあります。
②任意後見制度を利用する
成年後見制度は法的な行為ですが、任意後見は成年後見と違い、契約行為なので、親族とも契約(公正証書を作り登記が必要)を結ぶことが出来ます。そして、認知症かなと思ったら、裁判所に申し出て、「任意後見監督人」(後見人が不正を行わないか監視する人)を選任してもらうと、成年後見の仕事を引き続き任意後見人が行うことが可能となり、事情をよく理解した継続したサポートが可能となります。
③民事信託を利用する
民事信託は、認知症の前に設定しておけば、認知症発症後の財産管理だけでなく、相続などについても対応可能な仕組みです。
一例としては、親御さんの財産を信託財産として受託者(息子さんなど)に託し、信託財産から得られる利益を親御さんが受け取るというものです。財産はすでに信託財産になっているので、親御さんが認知症になっても、万が一のことがあっても、信託を設定する時の契約の内容に従って処理されます。ただ、相続の場合には遺留分は発生しますので、注意が必要です。
また、民事信託を設定する場合に、司法書士などにお願いしますが、手数料(財産の1%くらい)が必要になります。
まとめ
この年末年始休暇を利用してご実家にお帰りになった際は、まずは、お孫さんの話題から入って、通帳とハンコの場所から話題にして、認知症への対応や相続の流れ、基本的な内容そして分割の方向性や概要、さらには節税対策についても話が進むことを願っております。
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