はじめに
いつも自衛官生活支援会のブログをお読み頂きありがとうございます。色々とご相談に乗っていると不動産投資に興味をもっている方がとても多いのに驚きます。そして、簡単に不動産投資に手を出す人が多いのにも驚きます。今回は、不動産投資を始めるに当たり一番最初に考えなければならない「不動産投資の目的」について詳しく解説します。
不動産投資は目的を明確に
私は資産形成で金融商品と不動産による資産形成をアドバイスさせて頂いていますが、一番違うのは金融資産だと、「取り敢えず少しづつでも始めてみようか・・」という軽いノリで始めても「長期・分散・積立」を選べば大きな失敗はありませんが、不動産は初めに「目的」を明確にして始めないと、あとから変更が難しく、残債を抱えたまま売らざる負えなくなる可能性があるということです。
それは「目的」によって、買う物件の築年数や場所は当然ですが、今後のローンの返済方法や続けて物件を買うのか、売るのかななどを「目的」に合わせて将来のプランを作っておく必要があるからです。
不動産は色々なやり方があり、それだから工夫次第で他人の資本で収入を得ることが出来ます。そこが不動産の醍醐味ですが、これを実現するには「目的」を明確にする必要があります。
もし、「目的」を決めずに不動産投資を始めたら・・
一例として、よくある物件価格2250万円(平成18年築)、家賃収入約105万円、表面利回り4.67%を見てみましょう。
月々0.7万円位(2200万円の物件、35年ローン、利率1.8%)の持ち出しで、将来、不動産資産が手に入るし、保険や節税になるからといって、安易に購入してしまう例です。
この場合、不動産が手に入るのは35年後です。それまでに、保持しているだけで294万円を支払うことになります。この間、設備などの交換などが平均320万円(35年間)かかると言われています。さらに、賃料の低下(都内平均0.75%:船井総研調べ)を合わせるとしたがって、約900万円くらいの持ち出しとなり、これを35年間の月単位にすると2.14万円となります。
物件価格が同じ2200万円であればその時点で売却すれば1300万円の利益が出ますが、どのくらい値下がりしているのかわかりません。また、持ち続けた場合は、ローンを支払い終わる頃の築50年の家賃は6万円(神保町駅 歩4分:スーモ調べ、必要経費年間28万円)で年間44万円位になります。この家賃が25年続けば1100万円になりますが、この収入を得るために900万円を費やしています。
もし、毎月2.14万円(先述の不動産投資の平均月負担額)を35年間、年率3%で運用したとしたら、1200万円になります。
この不動産投資は何のためでしょうか?将来の年金であれば、先ほど貯めたお金を使いながら、年金の繰り下げを行えば、基礎年金だけで年間60万円が増えます。節税なら中古なので途中で減価償却がなくなります。また、保険としたら随分高い保険になってます。
不動産投資の目的を明確に!
年金狙いなら
表面利回りが8%以上でないと有効な年金とはならないと思われます。平均年金不足額は年間60万円位なので、35年後にそれを上回る年間収入を得る必要がありますし、月々持ち出しがないことが重要だと思います。すなわち、物件の収益力とファイナンス(安いローンを引き出す)が重要となります。
早期退職狙い
ご相談を受けていても、不動産投資で収入を得て、早期退職を望む方が多くいらっしゃいます。
この場合は、複数の不動産を持ち事業規模にする必要があります。ローンも一時的には膨大な金額になる場合もあります。複数の不動産を取得する場合でも、最初にどのようなモノを購入して、次は・・と最初から計画的に資金計画と不動産の取得計画を考えておく必要があるため、しっかりとした知識を身に付けることが大切です。
節税狙いなら
給料との損益通算による節税なので、所得税率が高いことが条件になります。例えば不動産所得が10万円赤字の場合は、税率が10%と30%では、節税効果は1万円と3万円で3倍違います。
また、物件が余りにも古いと、早く償却が終了してしまい、節税効果が無くなるばかりか、不動産所得がプラスになり、税金を払うことになってしまします。節税効果が無くなった物件をどのようするのか、出口戦略がとても重要です。
保険として
保険を目的に不動産投資は、あまりにも高い保険料になります。保険であれば途中で見直しや止めることも出来ます。不動産投資に連接した保険は、万が一の際のローンに対するリスク回避と考えて下さい。
まとめ
不動産投資を否定している訳ではありません。目的を明確にして、計画的に良い物件(収益率が高い)を探して、安い金利でローンを借りれば、とても良い投資だと思います。また、やり方は一つではありません。工夫次第では色々とお金を引き出せると思います。
ただ、そのためには、勧められるままに投資をするのではなく、自分で納得して目的に合った投資を行ってゆくことが大切だと思います。
その他のマネーに関する投稿ブログはこちらをクリックして下さい。
「自衛官のマネープランとは」
※自衛官、自衛官OBの皆さんのお金とくらしのご相談は、以下から自衛官OBのFPにお申し付け下さい。